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私とワタシ、どちらの人生も人を元気に笑顔にしたい

 
仕事、私生活、趣味、恋愛、目標、悩み・・・
いろいろなことを抱えながらも、前向きに生きる女性たちのインタビューです。
業界や職種に限らず、全ての“働く女性たち”が、前を向いて進めますように。
これを読むあなたにもエールを送りたいと思います。
 

今回のインタビューは、坂本留実さんです。
大手企業でシステムエンジニアとして働いた後、4年前に家業の部品加工メーカーに入り現在は取締役として広報や自社製品の開発、社内のIT化や社員の育成などに取り組まれています。
 
 

リビングでおしゃべりしながら部品の選別。家族の真ん中にいつも家業があった

 
5歳までは自宅の一階に工場があって、父の働いている姿は身近でした。私も土日や定時の後に工場の中をチョロチョロしていたので、小さい時から家業のことはすんなり受け入れていたと思います。
自宅と工場が別になってからも、たまに父が選別の仕事を家に持ち帰ってきて部品をリビングに置いておくと、暇な人が集まってきて家族でおしゃべりしながら選別したりしていました。工場の年末の大掃除も手伝っていたので、昔からいる社員さんたちのこともよく知っていました。
 
「私たちはこういうので暮らしているんだ」ということを小さい頃から自然と理解していましたし、「これでご飯を食べたり学校に行ったりできているんだよ」ということを、会社の経理として働いている母は昔から子どもたちによく言っていましたね。
 
 

「自分の興味がある仕事もしたい」で選んだシステムエンジニア

 
理数系が得意だったので医者になるか理工学部に行くか、大学の進路選択の時にはそのふたつで悩んでいました。父の仕事をどうしようかと思ってはいましたが、とりあえずその時は決めずに理工学部への進学を選び、大学院まで進みました。
 
就職の時は、家業を継ぐ継がないに関わらず、一回は自分が働いてみたい企業で働いてみた方がいいだろうと思いました。いきなり家業ではなく、一般の企業で働くことも絶対に必要だと思ったんです。もしそっちでマッチしたら家業でなくてもいいと親にも言われていたので、その時に興味があった医療機器に強いメーカーにシステムエンジニアとして就職することを選びました。
 
アトツギの中では、同じ業界の別会社で経験を積んでから家業に戻るという王道パターンがありますが、私は全く別の業界にいたことが結果的に家業のIT化に取り組む際にメリットになったなと思っています。
 

末っ子が自ら背負いにいったアトツギの道

 
私、実は4人兄姉の一番下で姉2人と兄が1人いるんです。親からは小さい時から4人とも「好きな事をやりなさい」と育ててもらっていたので、姉2人は教師に、兄は医者になりました。私はビジネスの道に進んだので、継ぐなら私なのかなと。両親の期待を自ら背負いにいった感じはありますね(笑) でも、もし兄が継いでいたら私は継いでいなかったかもしれないですね。
 
いざ家業に入るとなった時、「入るなら『会社を後継する』と言わないとダメだよ」と社長である父に言われました。大半の社員の方には受け入れてもらえましたが、入って1年位で取締役になった私を、長年勤めてきた方はよく思わない一面もあったと思います。辞めてしまう人もいました。
その時はツラいというより「そういうものかな」と思いました。これは後継者の方はきっと経験してるんじゃないでしょうか。
 
後継者の会にもいくつか参加しているんですが、特に製造業の女性経営者が集まる『ものづくりなでしこ』の会は、皆さんほんとにパワーがある方ばかりです。そんな先輩の方々に「私も頑張らなきゃな」といつも元気をもらっています。
 
 

美味しい立場?あることを徹底してきたことで大切な役割へ

 
社員の菊地さんのような新人だけに限らず、山野井さんのようなベテランの人ともそうなんですが、面談の時など社員と接する際は聞き役に徹してます。どんなに悩んでいても、解決策は必ず本人が持っていると思っているので、とにかく徹底的に相手の話を聞くことを大切にしています。
 
特に菊地さんはひと回りほど年が離れているので、当然感覚が違う部分もあると思います。こちら側が話していることがそのまま伝わっていないかもしれないと思って、たくさん話を引き出すようにしています。
2022年に新卒で入社した菊地さん(右)と。まるで姉妹のように和気藹々としたお二人です。
2022年に新卒で入社した菊地さん(右)と。まるで姉妹のように和気藹々としたお二人です。
 
菊地さんの新人研修も担当したベテランの山野井さん(左) 。現場担当として一緒に人材育成に取り組まれています。
菊地さんの新人研修も担当したベテランの山野井さん(左) 。現場担当として一緒に人材育成に取り組まれています。
 
そのおかげで、入社前に想像していたよりも結構皆さんが相談しにきてくれていると思います。社長との間のいいクッション役になっているみたいで、社長に言いづらい事も「留実さんだったら」と話してくれてるみたいです。以前、休みを増やしてほしいと相談されたことがあり、社長と相談して実際に休みを増やしたらすごく喜んでもらえました。
休みを増やすことを決定したのはもちろん社長ですが、社長には言えないことを私に相談してもらって実現できると、私が信頼してもらえるのかなと。これって美味しい立場だなと思っています(笑)
 

町工場の社長の娘でもないアトツギでもない「ワタシ」と「私」のこれから

 
休みの時は、仕事から離れた他のコミュニティに属するようにしています。趣味で続けているチューバでは町の吹奏楽団に入っていたり、ダイビングに行く時もダイビング仲間の車に拾ってもらって一緒に行くとか、なんてことない1人の女性としての時間を大切にしています。
 
ステージ下右奥の大きなチューバを抱えているのが留実さん(提供:坂本留実さん)
ステージ下右奥の大きなチューバを抱えているのが留実さん(提供:坂本留実さん)
最近行けていなかったダイビングに今年はもっと行きたいとのこと(提供:坂本留実さん)
最近行けていなかったダイビングに今年はもっと行きたいとのこと(提供:坂本留実さん)
 
天海祐希さんのドラマが好きで、元気になりたい時は観ていますね。お酒はビールが好きです。頑張んないとなという仕事が終わった時は、ちょっといいビールを飲んだりします。甘いものだと豆大福が好きです。月に一度コンサルの方が来るんですが、その方が毎回いろいろな豆大福を持ってきてくれていてそれで好きになりました。いつも会議室で難しい数字とにらめっこしながら、豆大福を美味しくいただいています(笑)
 
仕事の目標としては、私が60歳になる年に、会社は100周年を迎えます。それまで会社をしっかり強くしていたいと思っています。あとは、製造業で働く女性の一つのロールモデルにもなっていけたらと思います。特にうちの会社のようなプレス業界には女性がほとんどいません。私たちの仕事に興味を持った女性がいた時に、目指すところがあれば安心かなと思っています。
 
モットーは「誠実と笑顔」です! 会社も趣味も、この人といると元気になれるという人になっていけるといいなと思います。
 

 
これまでのインタビューはこちら
私の手でグラスはもっとかわいくなる。私の手でグラスはもっとかわいくなる。2023/6/30 1:552023/6/30 1:56
 

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