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交換日記:平川奈々

 
ものづくり新聞の女子が綴る、リレーコラム。
取材での発見、おすすめのアイテム、ここだけの話。ものづくりはしていないけれど、
ものづくりが大好きなわたしたちの交換日記です。
 
 

こんにちは。ものづくり新聞の特派員 平川 奈々です。

ものづくり新聞の特派員として製造業さんへのお役立ち情報の発信や取材の企画をしています。 今回は自己紹介も兼ねて、どんな経歴を辿ってきたが紹介したいと思います。
 
宇宙と飛行機が大好きだった幼少時代
実家の近くにプラネタリウムがあり、休日は父親がよく連れて行ってくれたことから幼少時代から宇宙が大好きに。将来の夢は「宇宙飛行士」と長い間言っていました。
 
しかし当時、祖父母には理解してもらえず、「女の子は結婚しておうちを守るのが一番良いのよ」と言われてショックを受け、それ以来祖父母には夢を言わなくなったことを覚えています。ここから私の反骨精神は育まれていったのかもしれません。笑。去年久々に行われたJAXAの宇宙飛行士選抜試験にも応募!残念ながら途中で敗退しましたが、挑戦は良い思い出になりました。
また、両親が旅行好きだったため幼い頃から飛行機に乗る機会があり、飛行機=楽しいというイメージがついて飛行機が大好きになりました。「飛行機なんて鉄の塊が飛ぶなんて怖い」と言われる人に飛行機がどんだけ楽しくて安全なのかを小さい頃から語っていました。笑
北九州にあったテーマパーク、スペースワールドでの写真。夢は宇宙飛行士!

でも理系科目が苦手だった…
高校で今後の進路を決めるにあたり、宇宙と飛行機が勉強したい+長く働ける職場に就けそうという気持ちから【航空宇宙工学科】を選択することにしました。
でも実は…理系科目は苦手だったのです…(汗) 数学で赤点を取って再試を受けることもしょっちゅうで、先生には「理系には行っちゃダメよ。あなたは無理」と言われたのですが、特別推薦(勉強の成績以外で使える推薦)で何とか潜り込みました。大学に入った後、猛者に囲まれて苦労するとは露知らず…。
 
 
大学〜就職
当時、航空宇宙工学専攻がある大学は今よりも数が少なく、大学には猛者がたくさん…。ヒィヒィ半泣きになりながら勉強しました。大学院に進学する人が多い中、これは大学院に行っても自分はダメだと早々に見切りをつけ(苦笑)、大学卒業後は就職する道を選びました。ところが世の中はまだ氷河期時代+9.11事件の影響で狙っていた航空会社関連は軒並み採用数減少。
宇宙関連企業は非常に少なく、院卒や学校推薦がないと厳しく、まだまだ女性活躍という言葉は先の話で、今ならセクハラでアウト的な発言を就活で聞くような毎日でした。本当に大変な就活でした(自分の成績が低いのも原因なのですが)。70社は落とされたのを覚えています。暗闇どん底時代でした。
 
 
製造業との出会い、設計の難しさと楽しさ
そんなことを経て、新卒で旅客機内装品製造メーカーにエンジニアとして就職することになりました。 所属先は設計部。大学で設計の授業は受けたけれど、授業は手書き(!)と2D CADでとりあえず単位を取りましたレベル。それが急に3D CAD (NX。当時はUG。後にCATIAも使いました)を渡されて設計することになったのです。
3D CAD研修を受けても最初はグルグル画面が回ってそれを見ていて画面酔いはするし、モデリングはできないし図面も読めないし…。上司もなんてダメなやつが配属されたもんだ、と困ったことでしょう(苦笑)。お前、そんなのも大学で習ってないのか!と叱られてはトイレで泣く日常でした。上司もよくあんなにしっかり叱ってくれたものです。今ではその叱られたことが自分の財産となっています。
それでも、分からなければ先輩に聞きまくり叱られ、現場に行って叱られ、時に怒鳴られ、提出した図面は真っ赤にチェックされ、製造先に電話して叱られ、電話を取って現場に行く、を繰り返し繰り返し行うことで少しずつレベルアップしていきました。 そしてレベルアップしていく過程で「ものづくりって楽しい」ということがやっと理解できるようになってきました。
担当していた製品は最終的には旅客機に搭載されて世界中を飛ぶもの。お客様からの要望を考え、デザイナーの意図を汲み取りながら、大きさ・素材・強度・難燃性など数多くの制約の中で、どのような形や作り方がベストなのか、お客様は使いやすいのか、安く作れるのか、納期に間に合うのか、を考えながらモデリングして図面を作り、組み立てられていく過程には、辛さ以上にやりがいと楽しさがありました。
最初は叱ってばかりだった先輩や製造先さんもどんどん協力してくださるようになり、チームでディスカッションしながらより良いものを作り出していくのがとても楽しかったです。特に海外航空機メーカーや世界中のエアラインと一緒に話をしながら製品を作り上げる過程は充実していました。 もちろん楽しいだけでなく、思ったようにうまく設計できない、図面を間違えた、予算超過した、試験したら壊れた、怒られたなど辛く大変だと思うこともたくさんありました。 それも含め「ものづくりは楽しい」と思える自分の原点です。
 
アメリカシアトルにある航空機メーカーBoeing工場の写真。塗装前の真っ白な飛行機も並ぶ。大きすぎる土地に驚き、感覚が違うことを学ぶ。
 
製造業をもっと知りたい 業界による違いに驚く
その後、色々思うこともあり転職を決意。何度かの転職活動開始と休止を繰り返しながら、最終的に外資系自動車部品メーカー(Tier1)に辿り着きました。自動車と航空機は、品質が高い、と聞く業界です。でも中に入ってみると「品質」への考え方がその対応法が全く違うことを知りました。 また、自動車と航空機では設計思想が大きく違うこともあり、同じ製造業と言っても業界によってこんなに多様で違いがあって面白い!と思うようになりました。
製造業をもっと知りたい 日本と海外の製造業の違いに驚く
この外資系メーカー(本社ドイツ)では、工場が日本にはなく海外工場に詳細設計・製造が集約されていて日本へは部品を輸入して各自動車メーカーに納品する形を取っていました。そのため、海外工場に行く機会が多くなりました。 そこで、日本では当たり前だと思っていたものづくりが、海外ではできないこと。 海外では当たり前だと思っていることが、なかなかできない日本。 双方色々な違いを実感しました。文章では分からない、現地に行かないと分からないってこういうことなんだ!と思いました。
ドイツと日本はものづくり大国として似ていると言われていますが、実際に中に入ってみると全く違う方針や感覚に本当に驚きました。閉店法という法律があり、労務が厳格に管理されているドイツでは基本「残業」はありません。でも生産性が高いってどういうこと?中に入ってもしばらくは謎なままでした。 また、海外とやり取りをする中で「異文化理解」の重要性を深く感じるようになったときでもあります。日本の当たり前が海外では当たり前ではない。その奥には「文化の違い」が潜んでいて、それを知って接するのと、知らないで日本の当たり前を押し付けるのでは、結果が180度異なることを感じる様々な出来事が経験できました。 異文化同士お互いを尊重しながら進めていくと、自分たちだけでは行きつかないアイディアや方針が出てくることも多く、多様性って最初は大変だけど面白い、と思いました。
ドイツ本社近くでの写真。時間になると荘厳な鐘の音が鳴り響き、話をしても聞こえないレベル。でもドイツ人にとっては至って普通。
製造業のもっとお役に立ちたい 製造業はかっこいい!
外資系自動車部品メーカーで仕事をする中で、経営についてに体系的な知識があった方が良い、と感じることが多くなり中小企業診断士の資格を取得しました。取得した後、色々な活動を通して製造業さんと接する中で、もっとお役に立ちたいし自分でできることがあるのでは?と考え独立することにしました。
今は、5Sやカイゼン活動、研修、販路拡大、製品開発、海外展開支援など幅広く製造業さんのご支援をさせていただいています。 ご支援する中で感じるのは「製造業ってすごい面白くてかっこいい!」ということです。 原価高騰、電気代高騰、自動車EV化など変革が大きく大変な製造業。 でもこんなに素晴らしい技術やものづくりをもっと発展させていきたいですし、そのパワーが日本の中小製造業にはある!と感じています。
ものづくり新聞を通して…
ものづくり新聞特派員として皆さんとお話させてもらう中で感じることは製造業の「横の繋がり」と「パワー」です。 常に技術向上や改善などが求められる業界だからでしょうか、横の繋がりを本当に大事にしていて情報交換を積極的にされていることが多いと感じます。情報交換をされる中で自社にとってヒントになることも多くあるかと思います。
 
私も、ものづくり新聞を通して製造業にが関わる皆さんにとってヒントになるような情報をもっとお出し出来たらと考えています。
それから製造業の強いパワー、これも強く感じます。ものが作られる、これは他の業界にはないもので、そこには作り手や設計者、顧客など本当に多くの人々の手と愛情、そしてプライドがかかっています。だからこその面倒くささとパワーが美しい日本のものづくりを支えていると思います。
こんな素敵なものづくりのパワーをもっと発信していきたい、できれば海外にも知ってもらいたい、そう思い日々模索しています。
 
最近ハマっていること
趣味だか仕事だか分からなくなってきていますが…宇宙がまた盛り上がっています。 国家事業としてやっていたのが少しずつ民間主導になりつつある宇宙開発。 SpaceXをはじめアメリカでは一大産業となりつつあります。 日本も少しずつこの追い風に乗って様々な宇宙ベンチャーが台頭し始めています。 日本の民間宇宙ベンチャーが世界とどのようになっていくか?ワクワクです!
2023年春にアメリカフロリダ ケネディスペースセンターに行ってきました。大きさがバグっていますが、後ろの建物はロケットが丸ごと入っているとても大きいものです。
 
 
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